ドーナット・イン・グラニーズ・グリーンハウス(おばあちゃんの温室のドーナッツ)

 ※注)(邦題)は、MSI発売(CD番号MSIF2193)の表記に準じています。

発売日: 1968 11
LP / UK: Liberty LBL83158E(mono) LBS83158E(stereo), US: Imperial LP-12432
再発盤については下記参照
CD / UK: Cornology (The Intro), Four Bonzo Dog Originals, US (CA): One Way S21-17430, JP: MSI MSI2193
Side 1

Side 2

1 WE ARE NORMAL (Stanshall/Innes)
(ウィー・アー・ノーマル)
でも俺たちはワルイ人じゃないよ。風通しの良いオープニング曲
2 POSTCARD (Stanshall/Innes)
(ポストカード)
太った2人のオバチャマが88枚、ちっちゃな2匹のアヒルが22枚、 ベッド・アンド・ブレックファーストが26枚、69枚の…。
3 BEAUTIFUL ZELDA (Innes)
(ビューティフル・ゼルダ)
不鮮明に局面がうつりかわってゆく。「Rasstones」の初登場。
4 CAN BLUE MEN SING THE WHITES? (Stanshall)
(ブルーな野郎にホワイツが歌えるか?)
潮風が私の薄絹のターバンをはためかせた。 美しい私の手にあなたの顔をそっとつつみ…2人のくちびるはどんどん近くへと張り伸ばされ…私はあなたの顔を見渡し…。 私はオーブンに入れっぱなしのライス・プディングのことを思い出した。 反抗精神と真実にみちあふれた一品。
5 HELLO MABEL (Innes)
(ハロー・メイベル)
ぬいぐるみの豚は、魅力的なランプシェードにうってつけ。
6 KAMA SUTRA (Stanshall/Innes)
(カーマ・スートラ)
独身ビジネスマンにぴったり。 アイルランド語じゃないよっ、て疑ってるでしょ?んなことないって。
7 HUMANOID BOOGIE (Innes)
(ヒューマノイド・ブギ)
フラッシュ・ゴードンはトワイライト銀河でメコンと闘っているが、超人ハルクを助けに向かおうとしている。 はたして彼は血のゾーンにたどりつくのに間に合うだろうか? 英国の呑んだくれが脳ミソ妻へと変身しようとしてるけども、ブレイニアックは本当にこれを止めるのだろうか? 筋肉付き過ぎオレンジの正体は?すべてが分かる…全部見れる…全員むちゃくちゃ…来週の『失礼しましたって言い忘れた彼』をお楽しみに…
8 TROUSER PRESS (Spear)
(ズボン・プレス)
ロジャーのボーカルデビュー曲。 メインスターはリフ・クリッシュと反逆のズボン。
9 MY PINK HALF OF THE DRAINPIPE (Stanshall)
(片足がピンクの私のズボン)
私は体の自由がききません。 私はモーツアルトとパガニーニを演奏できます。どうか私をたすけてください。
10 ROCKALISER BABY (Stanshall/Innes)
(ロッカライザー・ベイビー)
悪いティーンエイジャーの溜まり場の、キレ味鋭い肉屋たち。 何だか分かるだろ?
11 RHINOCRATIC OATHS (Stanshall/Innes)
(ライノクラテスの誓い)
獣のように狂暴な詩情。 協奏曲、ワルシャワ・ゲットー仕込みのお菓子っぽくもある。
12 11 MOUSTACHIOED DAUGHTERS (Stanshall)
(11人の口ひげを生やした娘達)
「俺のカミふぁんが頭痛でうちに帰っちふぁったじゃなぃか。 ドリスおばさんは黒スグリをトラウザースーツにめいっぱいブチ撒けちまうし」

ジャケット 表

ジャケット 裏
見開きジャケット 左 見開きジャケット 右
プロデューサーは、ガス・ダッジョン、ジェリー・ブロン
主にモーガン・スタジオで制作
エンジニア:テリー・ブラウン、アンディ・ジョンズ
ジャケットデザインと脚(ズボン)注/ヴィヴィアン・スタンシャル
全曲の作曲/編曲、および毀損は
ボンゾ・ドッグ・バンドで、出版はBron Music Ltd。

ライナーノート

ハーヴィー・J・サタン教授(Prof. Harvey J. Satan)
(追加情報の提供者は、ボンゾ・ボニー、レッグス・ローリー、ダフィー・デイブ・クレイグ、ジャンピング・ジョエル・"結局行方不明じゃなかった"・ドラックマン)

ようこそ シリーズ2枚目のアルバムへ。 『ゴリラ』のヴォードビル・スタイルの後で、ファンがこのアルバムをどう思ったかは推察するしかない。 でも『We Are Normal』を聴いた反応には、次の2つがあったんじゃないだろうか? まず、「ゲッ、間違ってフランク・ザッパのレコードを買ってしまった」。 もう一つは、「何だこりゃ、どっからこんなにエレクトリック楽器が出てきたんだ?」。 (そしてジャケットと添付ブックレットを見ると、可笑しいとともに、もっと謎が深まることうけあいだ!)

 さて シュールレアリスム、ダダ、古典文学、そして今ここにサイケデリアが登場し、 ボンゾズは好調にカッ飛ばしていた! よりヘヴィーなロックサウンドは不用意に針を落としたリスナーを驚かせたかもしれないが、 加速度的に狂喜の度を増していく『Do Not Adjust Your Set』の異様なナンバーを観ていた視聴者にとっては、お待ちかねの内容だったのではないか。 本アルバムと、『ケインシャム』の両アルバムは、ボンゾズにとってある種の形式を設定したように思う。 数々の音楽スタイル、音楽上の実験、そしてあの手この手で登場する茶化しが全ての要素を縫い合わせているのだ。 それほど分かりやすいストレートな「コンセプト」や「物語り」というわけではなく、 どちらかというとシュールリアルなお話しが展開されるなか、バンドがいつもナレーターを務めるとは限らないという形式だ。

 まず 景気良くオープニングを飾るのは、先ほども触れた『We Are Normal』、 「正常な人って誰?」というシンプルな疑問を問い掛けている。そして実際のところ、もしリスナーが正常でないとしたら、 その代わりウサギ頭をした男が正常そのものだとしたら?この曲は驚異的なインストゥルメンタルのジャムに突入してゆくが、 これは主として「俺たちは楽器をアンプにつないだぞ!」という宣言になっている。 (また、エマーソン・レイク・アンド・パーマーの「Great & Secret Show」 注) この部分は調べが行き届きませんでした。ELPファンの方の、お力添えをお待ちしております。ぜひ、以下のアドレスまで情報提供をお願いします。(訳者のメール) を触発することになったのかもしれない。) 『Postcards』は美しいパロディー曲で、主題は何を隠そう、休日に決まってるじゃん! ニールとヴィヴィアンのボーカルによるインタープレイが楽しい。(乱調な語りはまたしてもヴィヴィアン。) 『Beautiful Zelda』はサイエンス・フィクションと異星人侵略者、そして愛の異質性を謳ったニールの作品。 『Can Blue Men Sing The Whites』は、ブルーズを歌うためにわざと貧しげな服装をしなければならない、金持ち白人シンガーたちの恐怖に対して、 切れ味鋭く怒りをぶちまけている。 賞賛に値する奴らへの、眼ん玉グリグリの鮮やかなコミック攻撃だ! 『Hello Mabel』はニール作の素敵なえせレトロ曲で、「懐かしの」ボンゾ・サウンドのファンすべてを満足させるための作品。 ここではヴィヴィアンが歌っているが、ライブではたまにニールが歌うこともあった。 『Humanoid Boogie』は、ヘヴィー・メタル・バンドと化したボンゾズだ!フラワー・パワー入ってるところもあるが、場所によっては本当にでかい音! ニールのお気に入り曲で、ソロとして3つ以上の別バージョンをこれまでに録音している! 『Kama Sutra』…。えーっ、これは…ゴクリ…どう言ったもんだろうか? おかしな小品で、カーマ・スートラと、60年代のガール・グループたち両方に賞讃を送っている。(ってぐらいにしておこうか。)

 第2 は『Trouser Press』からスタートする。 ここで、ついに、ヴィヴィアンとニール以外の誰かが曲を作ることになる! この曲の作曲とリード・ボーカルの大部分はロジャー・ラスキン-スピアーだ。 胸のありったけを絞り出したドライ・クリーニング業界に寄せる抒情詩。(ソウル・ミュージックへの屈折した一撃もバシッと。) 「手を叩こう」と誘っているのはジョエル・ドラックマンだ。 次は、私が個人的に一番気に入っている曲で、『My Pink Half Of The Drainpipe』。 はた迷惑な隣人たちに関する不条理なコミック・オペレッタだ!(『ボヘミアン・ラプソディー』のオープニングはこんな感じじゃなかったろうか?) 素晴らしく珍妙な楽器と声のコレクションで、ヴィヴィアンとロドニー・スレイターがボーカル! 『Rockaliser Baby』が次の曲だが、これはまたまた休日とバイクの暴走族連中、そしてテディー・ボーイズ、警察の手入れについて歌ったロック・ソングだ。 ボーンマスに遠出すれば見られる典型的な光景。(とっても良いアコーディオン・ソロが入っていることは言ったかな?) 『Rhinocratic Oaths』はヴィヴィアン・スタンシャルだけがブン廻すことのできる、ねじくれた説話だ。 (あの「パーシー・ローリンソン」に言及していることに注意。 …また、『ゴリラ』に登場した「トロンボーンを吹くローリンソンたち」を思い起こすこともできるかもしれない。テーマ?脈々とつながる糸?強迫観念?) 聴き返すごとにこの曲の可笑しさが増えるのは、リスナーが物語りの特異な性格をもっと良く聴き取れるようになるからだ。 アルバムを締めくくるのは、ブックエンドとして完璧な曲で、これもまた同じくらい奇妙な、『11 Moustachioed Daughters』だ。 ブードゥーの儀式か?それとも脱毛器具か何かのコマーシャルか?いやそれとも空き時間を埋めるためか? 私たちが本当のところを知ることは決してないかもしれない…。ボンゾズの曲のなかで最も長い曲の一つだということは確かだ。 (ヴィヴィアンは後に彼のバンド「biGGrunt」でこの曲を復活させ、ロジャー・ラスキン-スピアーとデニス・コーワンの賛助を受け、 適切なコスチュームその他とともにテレビで演奏した。)

 さて このアルバムを出しただけじゃまだ足りないと言わんばかりに… 我らがおニイちゃん方は当時、彼ら最大のヒット曲を世に送り出すことになった! このシングル曲『I'm The Urban Spaceman(おいらは町の宇宙飛行士)』(ポール・マッカートニーから小さな助けがあった)はついに、 眠ってたヤツらにもボンゾズを気付かせることになったのだ! 裏面は、同じくらい愛くるしい『Canyons Of Your Mind』! (ヴィヴィアンのもう一つのプレスリー讃歌!)

これまでの得点結果 : 人気テレビ番組に毎週出演、ザ・フー(The Who)やクリーム(Cream)といったバンドの前座、そして今度はヒット・シングル!
我らがカエルちゃんたちは今、王子様になった…しかしすぐに…彼らはおたまじゃくし『Tadpoles』に逆戻りしてしまうのだった!が、それは続きということで…。

細かい情報:
発売時期: 1968年11月 タイトル "The Doughnut In Granny's Greenhouse"
グループ名 The Bonzo Dog Band(ブックレットと、見開きジャケットに歌詞付き)

Liberty Records (英国盤) - LBL-83158(モノ)/LBS-83158(ステレオ)

1968年11月 タイトル "Urban Spaceman" グループ名 The Bonzo Dog Band
(ブックレットと、見開きジャケットに歌詞付き)

Imperial Records (アメリカ盤) LP-12432

再発時期: 1975年 タイトル "Doughnut In Granny's Greenhouse"
グループ名 The Bonzo Dog Band(付属物なし)

Sunset Records (英国) - SLS50210 (Mint Green sleeve)

1987年 タイトル "The Doughnut In Granny's Greenhouse" グループ名 The Bonzo Dog Band
(デザインを変更した見開きジャケット、ブックレットのほとんどの写真、歌詞とコメントを収録)

Edsel Records (英国) - XED 209

1993年 タイトル "The Doughnut In Granny's Greenhouse" グループ名 The Bonzo Dog Band
(付属物なし)

One Way Records (米国) S21-17430


ヒットシングル : 発売時期 1968年11月 - "I'm The Urban Spaceman"/"Canyons Of Your Mind"
Liberty Records/LBF-15144 (英国盤) - (この曲はボンゾズ最大のヒットだった!)
注) 補足情報)英国製ピクチャースリーブ付きのシングルがヨーロッパ向けとして存在するが、英国内ではピクチャースリーブ無しでの発売のみ。
クレジットに名前が登場するバンドメンバー : ロドニー・スレイター、ニール・イネス、ロジャー・ラスキン-スピアー、ヴィヴィアン・スタンシャル、"レッグス"ラリー・スミス

クレジットに名前が登場しないミュージシャン :デイブ・クレイグ (ベース、コロネット、『Humanoid Boogie』の「ファズ・ギター」)は以下の曲に貢献し、録音にも当時参加していた。 『I'm The Urban Spaceman』、『Beautiful Zelda』、『Hello Mabel』、『Humanoid Boogie』、『Trouser Press』、 『Rockaliser Baby』、『Shirt』、『Monster Mash』、『Little Sir Echo』、『Canyons of Your Mind』。 デイブはこの時、ヴァーノン・ダドリー・ボヘイ・ノウェルの代わりとしてフルタイムで参加していたにもかかわらず、 いまだに「セッション」ミュージシャンと考えられていた。 デイブの写真は『Equestrian Statue』の楽譜、シングル『I'm The Urban Spaceman』のジャケット、 『Television Times』誌に掲載された『Do Not Adjust Your Set』の広告、 『Beastiality Of The Bonzos』LPのジャケット写真(新聞紙柄のスーツを着ているのが彼!)。 デイブは、明確にされていない理由によって、バンドから予告もなしに脱退させられ、ジョエル・ドラックマンが後釜となった。 デイブは英国に在住しており、彼のレーベル「DJC Records」から、すばらしいボンゾCD『Anthropology』をリリースした責任者だ。 (ロジャー・ラスキン-スピアーの最初のソロ・アルバムにソロEPの4曲を加えてCDで再発したのも彼だ。)

ジョエル・ドラックマン (ベース、ヴォイス)は以下の曲に貢献し、録音にも当時参加していた。 『We Are Normal』、『11 Moustachioed Daughters』、『Trouser Press』、『My Pink Half Of The Drainpipe』、『Rockaliser Baby』、 『I'm The Urban Spaceman』、『Canyons Of Your Mind』。ジョエルが最も目立って聴こえるのは『We Are Normal』のインタビュアーとして、 『Trouser Press』の最初の部分の声、『My Pink Half Of The Drainpipe』の前に「Raw Meat!(生肉!)」と言っている声、 『11 Moustachioed Daughters』のなかで 「I don't remember too well, but I think John Wayne was in it.(あまり良くは憶えてないけど、ジョン・ウェインが入ってたと思う。)」と言っている声だ。 ジョエルはアルバムのジャケット写真、左側に、鐘を持ってかなり目を惹く紫色のストッキングを身に着けて写っている! ジョエルは『Little Lord Echo』(詳細は以下を参照のこと)をめぐって仲たがいが生じたあと、最終的にはバンドを離れている。 彼の後任として結局、デニス・コーワンが参加することになった。ジョエルは現在、天気のいい南カリフォルニアに住んでいる。

どうかクレジットしてもらえないものでしょうか? : ジョエル・ドラックマンはこれまで「行方不明のアメリカ人ボンゾ」と呼ばれていたが、真実のところ、ジョエルとデイブは、 「クレジットされていないボンゾ」(本アルバムのどこにも、ベース・ギターのクレジットがないことに気付くはずだ)と呼ばれるべきだ。 ……そして現時点で、私たちは他のボンゾの連中に向かって人差し指を立てて、 「ほんっとに悪いボンゾねぇ!駄目っ駄目っ駄目っ!」と言ってやらなければならない。 彼ら2人に、当然与えるべきだったクレジットを怠っているからだ!

クレジットから外され、関知されなかったミュージシャン : ヴァーノン・ダドリー・ボヘイ・ノウェルは、『ゴリラ』の発売直後に脱退。 サム・スプーンズもまた、ヴァーノンとともにバンドから外れ、パーカッション類すべては"レッグス"の手に残された。

このアルバムに入らなかった曲 : この当時ボンゾズのレパートリーには以下のような曲があった。『Little Sir Echo』、『Mr.Hyde In Me』、『Monster Mash』、 『Shirt』、『I Want To Be With You』、『Give Booze A Chance』、『We Were Wrong』、 『Tragic Magic』(仮のタイトルで、後に『Keynsham』と名付けられることになった曲。)

ベルモットをグラスに1杯 : ここで再度、ビートルズがボンゾズに援助の手を差し伸べた。 シングル『I'm The Urban Spaceman』はサー・ポール・マッカートニーが変名「Apollo C.Vermouth(アポロ・C・ベルモット)」でプロデュースした曲だ。 ポールはボンゾズの熱心なフォロワーで、プロデュースを試したがっていたのだが、これがその機会となったわけだ。 エンディングで聴かれるユニークなサウンドを出す方法を発見したのは、ポールだと言われている。 (これは、園芸用のホースの片方にじょうごを付けて、ヴィヴィアンの頭の上で振り回した音。) スタジオ内で複数のマイクロフォンを円形に配置すると、この不気味な音を収録できることをポールが発見し、録音はうまくいった!

ビートルズについてもう一言 : 可笑しいことに、ポールから助けを借りておきながら、 バンドはジョンとヨーコを『Give Booze A Chance』という曲で茶化しており、ジョン・ピールのラジオ番組で演奏した。 またこの時期、ロドニー・スレイターは多数の写真で「Lump It John(我慢しろ、ジョン)」と書かれたシャツを着て写っている。 ジョン・レノンがプレス紙上でいつでも「ぐずぐず文句ばかり」言っていたことに対する反応だ。

アメリカン・バージョンというもの : その通り…今度もアメリカ盤はイギリス盤とは別物でなければならなかった。 アメリカの市場は「ヒット」シングルで売らなければならないため、 発売寸前になって『I'm The Urban Spaceman』が第1面の第1曲目として追加された。 (その次に『We Are Normal』、以下、LPの他の曲が続いた。) これでは本当にアルバムのコンセプトをゆがめてしまう。 (本アルバムは当初アメリカで、『Urban Spaceman』として発売された。)

シングルと言えば : 『I'm The Urban Spaceman』がどうしてイギリス盤のアルバムに入っていなかったのか不思議に思うかもしれない。 この時代には多数のアーティストが、「コレクション」ものや「ベスト」ものアルバムを除いて、アルバムには全く登場しないシングルを発売していた。 (ビートルズも非常にひんぱんに、アルバムにないシングルを出していた。)

『リトル・サー・エコー』の恐怖!! : 『Little Sir Echo』はヴィヴィアンと"レッグス"がともに好んでいた可笑しな曲だった。 ステージでは腹話術師の出し物として演じられ、ヴィヴィアンが腹話術師で、学童児の恰好をしたロジャーがヴィヴィアンの膝に乗り、人形の役をした。 そのうちジョエル・ドラックマンが新たにリトル・サー・エコーになることが決定したが、彼にはこの役が全然合わなかった。 ジョエルはこれを「屈辱的だ」と描写し、彼の意見を述べたてた後で、彼はバンドから首切りをくらった。 奇妙なことに、『Little Sir Echo』も演目から外された。

いったい誰を「ノーマル」と呼んでるんですか?? : 『We Are Normal』のインタビュー部分で、これほど多くのへんちくりんな反応を、どうやって通行人から得ることができたのだろうかと頭をひねった人が多かった…。 えーと、その理由と状況がこれだ。ジョエル・ドラックマンは人の行き来がはげしい街角に、 マイクロフォンを持って、体育会のイニシャルの付いたセーターを着て立っていた。 いっぽう、道をはさんでヴィヴィアン…が、パンツいっちょでウサギの耳のついた帽子をかぶっていた! そして、付け加えるならば、ぴょんぴょん跳びはねていたのだ!スウィンギン・ロンドンの典型的な一日がこのようにまた過ぎてゆく。

2つのキャニオン! : 『Canyons Of Your Mind』には2つのバージョンが存在する…。 ヴィヴィアンの「Tis the B-Side of our platter sports fans...(ファンを楽しませるのはB面のほう…)」というイントロが入るもの、 そしてイントロのない別ミックスだ。(『Cornology』セットには、後者が収録されている。)
注)(追加情報) 英国オリジナル・シングル盤においても異なるバージョンが存在する。ヴォイス・イントロ有りがマトリックスナンバーLBF 15144 B//2, イントロ無しがLBF 15144 Bv1。イントロ有りが初盤とされているがマトリックス番号からは逆か? 謎である。

その名前って何? : 本アルバムのタイトルの命名者としてよく名前が挙がるのが、マイケル・ペイリン!
『Do Not Adjust Your Set』でボンゾズと一緒に仕事するうちに、 マイケルはジョークとして「The Doughnut In Granny's Greenhouse」(おばあちゃんの温室のドーナッツ)という言葉を思い付いた…。 これは、外で用便することを婉曲に言ったものだった。ヴィヴィアンはこれがたいそう気に入り、アルバム・タイトルに拝借したというわけ。

日本語訳/湯田 賢司